マラと呼んでください

ルツ記1章16~22節

澤田 武師

主題聖句 「ナオミは言った。『どうか、ナオミなどとは呼ばないで、マラと呼んでください。全能者がわたしをひどい目に遭わせたのです。』」 ルツ記1章20節
 ルツ記は「士師が世を治めていたころ」、イスラエルが王政に移行する前、不安定な時代の日常の出来事を、ナオミの視線を通して描く物語です。
 飢饉が終わった知らせを聞いたナオミはベツレヘムに帰ることを決意します。そして、モアブでめとった二人の嫁にそれぞれの実家に帰ることを勧めます。嫁のオルパは故郷へと帰りましたが、もう一人の嫁ルツは最後までナオミと一緒に生活することを望み、ベツレヘムに同行することを選びました。ナオミとの生活は、ルツに信仰者としての生き方を教えました。
 彼女たちを出迎えたベツレヘムの町の女たちは「ナオミさんではありませんか」と戸惑いながらも彼女たちの帰国を喜びます。しかし、ナオミは「マラと呼んでください。全能者がわたしをひどい目にあわせたのです。」と、ナオミ(快い)と呼ばれることを否定し、自分の名を恨みます。
 神様のご計画が前進する舞台として、彼女たちのベツレヘムへの帰国は備えられました。神様は「大麦の刈り入れの始まるころ」と、ここでの生活の糧を与える計画を既に示されています。しかし今、この神様のご計画のすべては、ナオミとルツには到底解るはずはありませんでした。
 ナオミとルツが失意の中で見上げた空は、その1150年後に羊飼いたちも見上げた夜空です。そして羊飼いたちは聞きました。「いと高き所に栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」救い主誕生の知らせを信じて、彼らはベツレヘムの町にイエス様を探しに行きます。
 あなたの信仰生活は、万事好都合の快いナオミの生活ですか。それとも、行き詰まりを覚え、苦難のマラの生活ですか。苦悩と思えるあなたの人生の中に、既に神様の秘められたご計画は進んでいます。
 彼女たちの苦難の根底には神様の備えと導きがあり、ナオミとルツの人生も神様の壮大なご計画に組みこまれていることが、ルツ記を読む者には示されます。それはあなたの人生の中でも起こる神様の御業です。探してみてください。
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