新しい道を歩む

マタイによる福音書2章1~12節

澤田 武師

主題聖句 「ところが、『ヘロデのところへ帰るな』と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。」 マタイによる福音書2章12節
 ヘロデ王はユダヤ人ではなかったため絶えずユダヤ人の反乱を恐れていました。彼はユダヤの宗教や文化を軽視し、その伝統を強制的に変えようとします。
 彼は王宮に尋ねてきた東方の学者たちの話を聞き、祭司長や律法学者たちに預言の意味を調べさせます。聖書にはメシア誕生の預言があり、彼は「真の王の出現」が現実に起こったことを悟りました。ヘロデ王の心を闇が支配します。
 「わたしも行って拝もう」この言葉は偽りです。もし真の思いであったとしたら、ヘロデ王もイエス様を探し求めたはずです。自分の地位が危うい。不安は彼の足を止めます。彼は生涯イエス様と出会うことはありませんでした。
 喜びにあふれた学者たちは携えてきた宝物をイエス様に捧げます。一説には、これらの宝は占星術の道具を売って得たのではないかと言われています。黄金は王の中の王を、乳香は祭司の使命を、没薬は十字架の死を表しています。そこにイエス様のご生涯が表されています。
 私たちは礼拝に何を携えて行くでしょうか。何をお捧げしているのでしょうか。私たちが日常の宝を大切にしていては、神様の前に集うことは妨げられます。万事を整えて礼拝に集うということは、日常の宝を神様に相応しい供え物に変えて、御前にお捧げすることです。
 福音書にはイエス様がお生まれになったのはヘロデ王の時代と記されています。この日から約30年後にイエス様の公生涯が始まります。公現日はイエス様が公生涯に歩み出された最初の時でもあります。ここはとても重要です。
 救い主がお生まれになった。東方の学者たち、野宿をしていた羊飼いたちは、日常から離れ、大胆に救い主を探し出す勇気と確信を与えられました。それは真理の言葉を語り、再び罪の中に戻らない者として、新たな歩みが与えられたことです。「別の道を通って帰って行った」福音の道が示され、導かれたのです。それは神様と共に歩む道です。公現日は私たちに、イエス様を世に知らせるために、一歩を踏み出させる最初の日でもあります。
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