頭であるキリストのもとに

エフェソの信徒への手紙1章8~14節

澤田 武師

主題聖句 「こうして、時が満ちるに及んで、救いの業が完成され、あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられます。」 エフェソの信徒への手紙1章10節a
 パウロは、「神の御心」として、時間と空間とを超越した神様の恵みが“わたし”にも与えられたと確信しています。さらに、「神はこの恵みを“わたしたち”の上にあふれさせ、すべての知恵と理解とを与えて、秘められた計画を“わたしたち”に知らせてくださいました。これは、前もってキリストにおいてお決めになった“神の御心”によるものです。」と、イエス様を信じる“わたしたち”も、“神の御心”によって救いのご計画の中にあることを証します。神様の祝福を褒めたたえる讃歌をパウロは記しているのです。
 10節、神様は囚われの身となっているパウロに、イエス様によって明らかにされる理想の教会の姿を示されました。それは、この地上だけに留まらず、地のものも天のものもすべてが、イエス様を頭として初めて一つとなる神様の教会であり、その中で、わたしたちだけでなく、福音を聞き、そして信じた“あなたがた”にも、神様の恵みが与えられることを確信して感謝をあらわします。
 私たちは新型コロナウイルス感染予防のため教会が大切にしてきた、一緒に集うこと、分かち合うことを、今は避けなければなりません。そこに身動きできない困難を覚えます。この姿は、囚われているパウロの思いと重なります。この時のパウロには命の危機が迫り、信仰の自由も体の自由もありません。そして世からは完全に分断されています。
 そのパウロに、神様はすべてのものが一つになるご計画を明らかにされました。神の御心は、この豊かな恵みをエフェソの兄弟姉妹と分かち合えるようにと、パウロに手紙を書かせます。人と人とが距離を取らなければならない時代の私たちに対して、教会とは何か、信仰とは何か、神様がこの世に創られた教会、その本質は何であるかが、改めて問われているのではないでしょうか。「あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられます。」その中に私たちも含まれている恵みに感謝いたしましょう。
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