敵意を滅ぼす

エフェソの信徒への手紙2章11~16節

澤田 武師

主題聖句 「十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。」  エフェソの信徒への手紙2章16節
 パウロは、エフェソの兄弟姉妹に示します。「イエス様を信じる以前」は、「キリストと関りなく、神様を知らずに生きていた時」であった。そして「今イエス様を信じ」、「キリストの平和に生きる者」として新しい人に創り変えられた。これを改めて「心に留めておきなさい」と教えます。
 パウロは世界が一つとなるため、「平和」を創り出すイエス様のお姿を記しています。それは「ご自分の肉において」とあるように、イエス様が自らをお献げになって初めて得られた真の「平和」です。
自分の正義をかざす時、「敵意」はそこに潜んで相手を攻撃します。それは人と人を分離し、隔たりを創ります。パウロは、神様の御心である「世界が一つになる」ために、イエス様が敵意を滅ぼしに来られたことを再度記しています。
 十字架刑は大変残酷です。それゆえ十字架刑につけられる犯罪人は大抵、周囲にいる群衆をののしり、怒りをぶつけ、自分の運命を嘆いて死んでゆきました。ルカはイエス様が十字架につけられた時、二人の強盗がイエス様の左右につけられたと伝えています。一人の強盗は、イエス様を罵り、怒ります。しかし、もう一人の強盗は「わたしを思い出してください」と、イエス様に願います。彼は平安に死を迎えようとしています。隣に、共に十字架につけられているイエス様のお姿を見た時、彼の怒り、失望、敵意は、平安へと変えられました。実際にイエス様はご自分の十字架で、敵意を滅ぼされ、新しく生まれ変わった者を創られたのです。彼は、神様から和解を得たのです。
 私たちも「心に留めておきましょう。」イエス様が私の「敵意」も、十字架で滅ぼしてくださったことを。それは人と人の隔てを壊し、国と国の争いさえも終わらせる力を持ちます。世界の人々が一つになって、新しい人として創り変えられる者がたくさん生まれます。すべての者が共に生きる新しい世界となります。そのために、イエス様は来られました。神様と人、人と人の間の隔たりを壊すために。
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