勇気を出しなさい

ヨハネによる福音書16章25~33節

澤田直子師

主題聖句「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。」 ヨハネによる福音書16章33節より
 ここでイエス様の告別説教が終わります。この後、復活されるまで弟子たちと言葉を交わすことはない、その最後に、イエス様は「勇気を出しなさい」とお命じになりました。
 25節の「これらのこと」とは十字架の贖いと復活の勝利と考えて良いでしょう。イエス様のお言葉や数々の癒しの奇跡はみな、十字架の贖いと復活を指し示すたとえでした。それだけでなく旧約聖書の諸々も、イエス様の十字架と復活を指し示します。しかしもう間もなく、例えではなくはっきりと十字架の死と復活が目に見える形で示されます。その出来事を神の御業の成就と信じる弟子たちは、もはやイエス様の後ろに隠れて祈る者ではなく、イエス様と並んで祈る者に変えられて行きます。
 イエス様は、十字架の前から逃げるであろう弟子たちのその先を見ていました。やがて聖霊を受けて福音伝道の働き人となる日のために、この告別説教を残していかれたのです。
 イエス様は27節で「あなたがたが、わたしを愛し、わたしが神のもとから出て来たことを信じたからである。」とお褒めになり、32節で「わたしをひとりきりにする時が来る。」と予告されます。イエス様は弟子たちをあるがままに愛し抜かれました。良い悪いの評価はそこにはありません。自分の都合で良し悪しを言い立てるのは人間の業です。
 イエス様ははっきりと「世で苦難がある」と言われました。信仰者の戦いには不戦勝はありません。悪しきものとの戦い、自分との戦いに臨まねばなりません。しかしイエス様は十字架の上で勝利を勝ち取られるのですから、それを信じる者もまた、勝利が約束されているのです。勇気を出しましょう。
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