神に造られ、神に帰る

コリントの信徒への手紙一 8章1~6節

澤田直子師

主題聖句 「ただ、知識は人を高ぶらせるが、愛は造り上げる。」 コリントの信徒への手紙一 8章1節b
 7章は結婚についての質問、8章は食物規定に関する質問がコリントの教会から発せられ、パウロが答えているところです。簡単に言えば「どちらでも良い」なのですが、パウロとしては、コリントが教えられた規則に従うのではなく、一番大切な事を踏まえて自分たちの教会を作り上げてほしいという思いがあり、『何のために、誰に向けて』事を行うのか行わないのかを決めるよう勧めます。
 6節「万物はこの神から出、わたしたちはこの神に帰って行くのです。」信仰者が心に刻んでおくべきは、ただこれだけだろうと思います。わたしはどこから来て、どこへ帰るのか。ここを押さえておけば、時や相手によって言葉と行動が変化する時があっても、大失敗をしなくて済むのではないでしょうか。ただし、わたしたちには、神の御許に帰るまでのあいだ、世を歩むと言う使命があります。
 つまり、いつでもどこでも神様が見ていてくださることは確かだけれども、同時に、共に地上を歩む隣人もわたしたち信仰者を見ている、という事です。そこで1節の「知識は人を高ぶらせるが、愛は造り上げる」につながっていきます。聖書で「知る」というのは、もはや生活や思いから切り離せないくらいに自分の一部になっていることを表します。「愛は造り上げる」とは、その知識はあなたを、誰かを幸せにしましたか、という問いです。頭で知っているというだけでは「知らねばならぬことをまだ知らない」のです。
 わたしたちは神に造られ、神の元に帰ります。しかし聖書は、その一歩外側に踏み出すことを求めます。神様の御許に帰るまでに、わたしたちには神に造られた者として世を歩む使命が与えられています。イエス様が見せてくださったように、神の愛をもって隣人を愛するという任務が与えられています。胸を張って顔を上げて神様の御許に帰れるように歩んで行きましょう。
📢音声