神は語られた

ヘブライ人への手紙1章1~4節

澤田 武師

主題聖句 「神は、かつて『預言』たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に『語られた』が、この終りの時代には、『御子』によって『わたしたち』に語られました。」 ヘブライ人への手紙1章1~2a節
 手紙本文中には、この手紙の著者名、執筆時代、受取人名がはっきりとわかる言葉はありません。しかし、手紙の冒頭で著者は、神様は私たちに語ってくださり、そして、私たちの信仰が神様の御言葉を聞くことから始まった、と記します。著者はこの事実を、確信をもって手紙全体の序文としました。
 かつて、神様の「語りかけ」に旧約の民は聞き従いませんでした。神様から離れて自分たちの造った神、偶像に心を向け、神様を忘れてしまいました。
 それでも、神様は変わらずに人類に「語ってくださる」お方です。それは、全ての人類の「救い」が、神様からの一方的な働きかけから始まっていることを示しています。その証しとして神様は御子イエス・キリストを送ってくださいました。それほどに私たちを愛し、私たちが生き方を変えて、永遠の命に生きる者となるように導いてくださいます。
 終わりの時代とは私たちが生きている今この時です。私たちは「御子イエス・キリストが語ってくださったお言葉」を聞きます。そして、私たちの信仰は、このお言葉を土台として建ち、造り上げられていきます。
 この手紙には、何度も試練の前に立たされ、信仰に対する喜びが薄れ、ユダヤ教に戻ろうとする誘惑に覆われている、キリスト者の姿が記されています。手紙の著者は、誘惑に揺れる者に、福音の真理をしっかりと心に留めて、押し流されないようにと励ましたかったのです。「励ましの思い」を込めて、ヘブライ人への手紙は書かれました。
 私たちにも信仰が弱る時があります。その時に励ましを与えてくれる手紙として、ヘブライ人の手紙を読んで行きましょう。
 今も、イエス様は私に語りかけてくださっています。静まって、耳と心を開いて、主のお言葉を聞きましょう。そして、私たちもサムエルのように応答しましょう。「どうぞお話ください。僕は聞いております。」
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