平和に暮らしなさい

ローマの信徒への手紙12章9~21節

澤田 武師

主題聖句 「できれは、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。」 ローマの信徒への手紙12章18節
 9節「愛には偽りがあってはなりません。」/strong>パウロほど神様の愛を真剣に受けとめた人物はいなでしょう。復活のイエス様はダマスコ途上でパウロと出会ってくださり、パウロはただ神様の憐みにより、主を伝える者に変えられました。
 教会はその最初から、多様性をもって誕生しました。初代教会は、厳しい身分差別社会の中でも兄弟愛が教会の一致を生み、組織を形成する力となりましたが、それでも、兄弟姉妹の間には対立は起こりました。
対立は人々に隔たりを作ります。「主に仕えなさい」パウロは、ただイエス様に仕えること、神様が示された愛、主イエスの十字架と復活にのみに仕えることを命じています。神様の愛は、隔てを壊し平安を与えてくださいます。
 20節「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。」敵の必要を自分自身の必要として与える。兄弟愛の実践を命じています。私たちの歩みにも、戦いはあります。パウロの勧めであってもその全てを実行することは到底できません。たとえ愛に生きたつもりでも、そこに自我が生じれば、愛は福音ではなく律法となり、人を裁くことに変質してしまいます。また、愛が無い自分自身を辛く思うこともあります。愛は完全には実践できません。
 パウロは、そんな私たちに18節「できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。」と語ってくださいます。愛は平和を作りだします。そのためには努力が必要です。しかし、私たちには限界があります。パウロは「できれば」とは、あなたが出来る限り、「せめて」とは、少なくともあなたはと、平和を作りだす愛は、相手の態度や結果を問題にするのではなく、あなたの最善を尽くしなさいと、励ましてくださいます。平和があるとか、ないとかの問題ではなく、平和を作りだす努力、兄弟愛に生きることが重要であると勧めてくださっています。
 「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」世界がこの御言葉の通りになった時代はいまだかつてありません。しかし、せめて私たちはこの御言葉を心に止めて、隔たりを壊し、平和を作りだす愛を現して行きましょう。
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