どこに属するか

ヨハネによる福音書8章21~30節

澤田直子師

主題聖句 『わたしをお遣わしになった方は、わたしと共にいてくださる。わたしをひとりにしては
        おかれない。わたしは、いつもこの方の御心に適うことを行うからである。』
        ヨハネによる福音書8章29節

 「信徒伝道週間」です。この主日のテーマは、キリスト者がどのように主の御業に加わって行くか、ということです。イエス様が「わたしの行く所に、あなたたちは来ることができない。」と言われると、ユダヤ人たちは、自分を高い所に置いて、それではイエス様が陰府に下るのか、と考えます。
 人の心を知るイエス様のお答は、「あなたたちは下のものに属している」というものでした。聖書によく見られる上下の逆転です。神様は高ぶる者を低くされ、へりくだる者を高く上げるお方です。しかし、イエス様が世に来られたのは、「下のものに属する」人々を救うためでした。ですから、イエス様は『わたしはある』ということを信じないならば、と条件をつけます。「わたしはある」とは、出エジプト記3章で、モーセが燃える芝の中から神の声を聞いた時、神にその名を尋ねて得た答えです。
 イエス様は、ご自分が何一つ自分の意志でするのではなく、天の父の御心でするのだから、父とご自分とは同じだ、と言われるのです。ユダヤ人には理解できないであろうことは了解済みです。「あなたたちは人の子を上げた時に初めて、『わたしはある』ということがわかるだろう」人の子を上げるとは、十字架の死を意味しています。ユダヤ人の中にも、十字架のイエス様を見上げた時に、心を揺さぶられた人がいたに違いありません。見方を変えれば、それくらいの大きな衝撃でなければ、人の頑なさは砕かれないのです。
 わたしたちは、聖書を読み礼拝で説教を聴き、イエス様の十字架の死がどのようであったかを知っています。さらに、御言葉によって、祈りと賛美によって、自分の心でイエス様に出会い、自分の耳でイエス様のお言葉を聞いてください。その時わたしたちは、地上を歩みながら、上に属する者に変えられるのです。
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