永遠の輝き

詩編90編

澤田 武師

主題聖句 「主よ、あなたは代々にわたしたちの宿るところ。」 詩編90編1c節
 毎年11月第一主日は「聖徒の日(永眠者記念日)」として礼拝を守ります。
 詩編90編のテーマは「神様の永遠と人の無常」であるといわれています。1節、表題には「祈り。神の人モーセの詩。」と、モーセが作者であると記されています。神様のご計画を担う者として選ばれ、出エジプトの働きを全うしたモーセでしたが、神様はモーセが約束の地を踏むことを許されませんでした。この詩編の背景には、有限な存在である人間が知る「無常」の世界があります。
 その一方で90編には、作者の切なる祈りの言葉の中に、神様の愛が示されています。現実がいかに厳しくとも、私たちは、いつかは神様の元へ帰って来られるのだということを歌っています。「永遠」の存在である神様を知っていることへの感謝が歌われています。
 信仰者は世の中で最上級の「無常」の時を知っています。それはイエス様の十字架の死です。イエス様は私たちの罪を負って,十字架の上で死なれ、復活されたことにより永遠の神様の愛を示されました。「無常」の中に生きる私たちを、「永遠」なる神様の姿のままでは救うことができなかったからです。そのイエス様の愛を信じる時、限りある私たち命の中に、神様の永遠の愛が満ちていると悟ることができるのです。
 「神様は永遠の方。無限の希望を与えてくださる方。私たちはそこに住む。」
 私たちが「無常」を一番感じるのは愛する者の死でしょう。本来あるべき命が無くなり、本来あるべきでない死がある。「無常」の本質は矛盾です。
 神様は「人の子よ、帰れ」と命じられます。信仰者としての地上の歩み、人生の終わりの時、それは神様からの命令です。神様を信じ、従い続ける者には地上から、天の国に帰る撤退命令であることを覚えましょう。永遠の存在なる神様の元に憩うために帰る、神様からの帰還命令だと覚えましょう。
 聖徒の日に改めて、私たちもその時まで「世々とこしえに、あなたは神」と証する者であり続けたいと祈ります。永遠の命を信じ、神様により頼む信仰者として歩んでまいりましょう。
📢音声