わたしがあなたを選んだ

ハガイ書2章20~23節

澤田直子師

主題聖句 『「わたしはあなたをわたしの印章とする。わたしがあなたを選んだからだ」と万軍の主は言われる。』 ハガイ書2章23節cd
当時のユダヤ暦の9月24日は、現在だと11月の終わりから12月半ばくらいになるそうです。この日に、重要な預言がなされ、その最後はユダの総督ゼルバベルに向けられたものでした。ゼルバベルはダビデ王家の正統な後継者でしたが、祖父の代に捕囚となってバビロン・ペルシアで生まれ育ちましたから、エルサレムを知りません。それでも人格的にも優れ人望厚かったので、帰還組のユダの総督を任命されたのです。
23節「わが僕」と呼ばれる言葉は、通常の王の命令とは違い、特別な使命を与える特別な家来に向けられる呼びかけです。さらに「迎え入れる」と、普通は王が行わない行為をもって、丁寧に大切に僕を扱います。「印章」は直訳すると「王の指輪」となります。王の命令を羊皮紙等に書き、さいごに蝋を垂らして王の指輪で刻印をする、それで確かに王の命令であると証拠だてる、その指輪になぞらえています。
ユダヤ民族は、自分たちを神の選びの民であると考え誇りを持っていました。申命記には、神は豊かだからとか大きいからという理由でユダヤ人を選んだのではなく、ただ神の愛によって、と書かれています。しかし当のユダヤ人は、その神の愛に応えてきたとは言い難かった。それでも神はユダヤ民族を守り導き続けます。
ヨハネ15:15で、イエス様は弟子たちに「もはや僕とは呼ばない。友と呼ぶ。」と言われます。「わが僕よ」と迎え入れられるだけでも畏れ多いことですが、「友」に格上げです。それは、イエス様が父なる神のご計画を弟子たちにしめすからです。弟子たちはその意味を理解していたとは思えませんが、従いながら理解していく歩みを、主は求めておられるのかもしれません。
ユダヤ民族も、ゼルバベルも弟子たちも、豊かを理由に選ばれたのではありません。わたしたちは主の御体なる教会ですから、豊かさや立派さではなく、王の王、主の印章となる歩みを求めて歩みたいと願います。
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