生活を変える力

テトスへの手紙1章1~4節

澤田 武師

主題聖句 『神は、定められた時に、宣教を通して御言葉を明らかにされました。わたしたちの救い主である神の命令によって、わたしはその宣教をゆだねられたのです。」 テトスへの手紙1章3節
 テトスへの手紙は師匠パウロから、愛弟子テトスに宛てた個人的な手紙です。「神の僕、イエス・キリストの使徒パウロ」から、「信仰を共にするまことの子テトス」へ。パウロの弟子で若き伝道者テトスが遣わされた教会は、未成熟のために抱える課題と、教会の信仰を揺るがす異端との闘いの中に在ります。この手紙はテトスからの何らかの訴えの答えとして、パウロが記したと思われます。愛する弟子テトス、テモテに託された教会の課題を、パウロは共に担おうと思っています。パウロには先に異邦人の地に、異教の地に教会を立て上げてきた経験があります。「健康的な教会を立て上げる」のには、どうしたらよいのか。師匠であるパウロは牧会者としての重要なアドバイスを、テトスやテモテに書き送りました。後の時代には、テモテへの手紙一・二とテトスへの手紙は、まとめて「牧会書簡」と呼ばれるようになります。
 パウロは冒頭の挨拶で、「永遠の命の希望」と「偽りのない神様」の存在があり、「神様からゆだねられた宣教の使命」があると記しています。
 「神様の永遠」とは、「そこに神様のご意志がある」ということです。イエス様を信じる者は永遠の命に生かされています。だからこそ希望となるのです。
 また、「神様の約束」には偽りはあり得ません。「神様は約束を実行」されます。「ゆだねる」それはイエス様の十字架の復活と永遠の命を信じ、福音を通してこの世界の出来事を見て、そこにある御心を知るということです。実生活の中に、イエス様の福音が無ければ、私たちは「ゆだねて」生きることはできないのです。
 パウロはどの時代のどこの教会にあっても、神様が永遠の命を与え、約束してくださり、健康的な教会へと成長する「生活を変える力」を与えておられると言います。パウロがテトスへ「ゆだねた」ように、私たちにも、ゆだねられているのです。テトスへの手紙は、牧会伝道に励むすべての者に宛てた励ましの手紙です。日々新たにされる信仰者、そして新たな力によって歩む教会のために、私たちにも与えられた手紙として読んでゆきましょう。
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