救いは主のもとにあり

詩編3編

澤田 武師

主題聖句 『救いは主のもとにあります。あなたの祝福があなたの民の上にありますように。』 詩編3編9節
 詩編3編の表題には「ダビデがその子アブサロムを逃れたとき」と、作者が置かれている状況が記されています。(作者がダビデであることに関しては、異なった解釈も在ります。)これは旧約聖書のサムエル記下15章~18章に記されている、ダビデ王の息子アブサロムが反乱を起こした出来事を背景として読んでみるのが自然であると思われます。
 イスラエルではダビデは王の中の王、偉大な信仰者として崇められています。しかしその生涯には、誘惑と苦難があり、失望と権力争いが続いたことはイスラエル史が証しています。ダビデ王はその度に、「主よ、それでも」と神様に祈り求め、苦難の中を神様と共に歩もうとしてきました。神様はうなだれている頭を高く上げてくださり、叫びに答えてくださり、祈りを聞いてくださる。いつか必ず全ての苦難を終わらせてくださる方であると信じていたのです。
 人間が最も平安を味わえるのは体を横たえて眠れる、そして健やかに目覚める時です。作者はすべてのことから恐れを締め出しています。神様への全き信頼が見えます。ダビデは、多くの民から「彼に神の救いなどあるものか」と言われた時でも、神様を信頼し祈って歩み続けました。
 ダビデは、羊の群れを飼う者にすぎなかった自分を、イスラエルの王として油を注いでくださった神様をよく知っています。だからこそ、苦難の中にあっても、神様を自分の主として信頼し、祝福を求めることで救われたのです。
私たちも苦しみの中にあるとき、「私に神の救いなどないのではないか」と考えてしまうことがあるかも知れません。
 しかしそれでも、私たちはイエス様の御名を呼びたいと思います。私たちの苦しみなど及びもつかない、更に大きな苦しみを、私たちのために引き受けてくださったイエス様の御名を、呼びたいと思います。
 イエス様が死んで復活してくださった。そして、私たちと共にいてくださり、支えてくださる。そのことに信頼して、私たちも神様の平安の内に身を横たえて眠り、目覚める者でありたいと願います。
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