全ては神の賜物

コリントの信徒への手紙一4章1~7節

澤田直子師

主題聖句 「この場合、管理者に要求されるのは忠実であることです。」 コリントの信徒への手紙一 4章2節
 4章は、コリントの教会のリーダー的な立場にいる人々に向けてかかれたところです。この時代、文字の読み書きができる人は限られていたし、キリスト教の教理も確立していませんでした。まだ福音書もありません。それでも教会は日々成長していきます。多くの人が集まります。初代教会では、裕福な人々が財産を捧げ、社会的に弱い人々を助けました。教会は今でいう社会福祉的な働きも担っていました。
 教会を運営する人々が選ばれる時には、信仰だけでなく、社会的に信用がある、権威がある、商売上手というようなことも影響したでしょう。また教会に新しい人々が加えられる時にも、商売上の損得が関係することがあったでしょう。そのような中で、コリントの教会には派閥ができ、争いが生まれてしまいました。
 パウロは、まず自分は使徒である、キリストから遣わされているものであると証した上で、教会に仕える者は管理者である、と言います。創世記では、神様は人間を造られ、それまでにお造りになった世界を支配せよ、とお命じになりました。この場合の「支配」は、ホテルや高級レストランの「支配人」がするように、四方八方に気を配って周囲に喜ばれる運営をするということです。誰に忠実に働くかといえばもちろん神様の御旨に忠実に、ということです。
 「仕える者」は、ガレー船を漕ぐ奴隷を表わす言葉が使われています。パウロは、船の中で最も身分が低い奴隷に自分をなぞらえたのですが、神とわたしたち信仰者という関係性において、信仰者の中には高い低いはありません。わたしたちが持っているもの全ては、神様からいただいたものです。自分で意識しているかどうかはさておき、誰も神様からの賜物をいただいて遣わされて行くのです。神様からの賜物を捧げ、分かち合い、感謝と喜びをもって歩む教会となりましょう。
 
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