御心を行うために

ヘブライ人への手紙13章20~25節

澤田直子師

主題聖句 「御心に適うことをイエス・キリストによってわたしたちにしてくださり、御心を行うために、すべての良いものをあなたがたに備えてくださるように。」 ヘブライ人への手紙13章21節a
 13章20節は、ご葬儀の終祷に用いられる御言葉です。原文では「平和の神」が最も強調されています。20、21節はいわゆる頌栄ですが、これがこの部分の主題でもあります。
 22節の「勧めの言葉」は、「慰め」とも「励まし」とも訳せる言葉です。外から良いことを教えて勧めるというよりも、同じ仲間として友として、あなたがたと共に歩みたいと願っている、というような思いが見て取れます。
それで、ヘブライ人への手紙は、説教を文字にしたものではないか、と考える研究者もいます。説教するように読むと1時間くらいかかるそうです。
 この時代、ヘブライ語の読み書きができる人はほとんどいませんでした。それでギリシャ語訳の旧約聖書が作られましたが、ギリシャ語でも読み書きのできる人は少なかったのです。信仰者は、ひたすら聞くしかありませんでした。語る方も、正確に伝わり、忘れないように、重要なことは繰り返して語ったでしょう。ヘブライ人への手紙も1回読んで終わりということはなく、何度も読まれ、写しが作られ、貸し出されたりもしたでしょう。そういう状況を思い描きながら、この手紙を味わいたいものです。
 冒頭に戻り、「永遠の契約の血による羊の大牧者」永遠の契約の血はもちろんイエス様の十字架の血です。羊は信仰者だけでなく全ての人を指します。イエス様はヨハネ10章で「囲いに入っていないほかの羊も導かなければ」と言われました。「大牧者」大をつけるのは、モーセとの対比です。モーセも偉大な預言者であり忠実な働き人でしたが、イエス・キリストは神の右におられるお方です。右にいるとは、相談者・知恵者であることを示します。わたしたち人間のことを、正確に神様にお伝えすることのできる唯一のお方がイエス・キリストです。ですから、神様は「御心を行うために、すべての良いものをあなたがたに備えてくださる」のです。御心を求めて歩みましょう。
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