新しい契約
ヘブライ人への手紙8章7~13節
主題聖句 「わたしは、彼らの不義を赦し、もはや彼らの罪を思い出しはしないからである。」 ヘブライ人への手紙8章12節
この個所では、旧約聖書からの引用が大半を占めています。新共同訳聖書の後ろにある「引用箇所一覧表」を見ると、エレミヤ書31章31~34節が引用されていることがわかります。
ではエレミヤ書の31章はどんな預言なのでしょうか。エレミヤは、南ユダ王国14代目マナセ王の治世の終わりごろに生まれ、宗教改革者として知られる15代ヨシヤ王の第13年に召命を受けて預言者となりました。この頃20歳くらいと言われます。この頃のユダ王国は、アッシリアの属国として多大な貢を納めて守られていました。しかしアッシリアはあまりにも領土を広げすぎて崩壊しつつあり、それではどの国と同盟を結ぶかが悩ましい問題でした。
エレミヤは神に依り頼むべきだと説きますが、権力者を批判する預言をするので激しい迫害を受けます。あまりの迫害のつらさに、預言をやめようとすると、今度は神の言葉が胸の内に火のように燃え盛り、苦しさのあまりに、再び預言者として立ち、やはり迫害され、最後はエジプトに連行されてそこで死ぬという、苛烈な生涯を送りました。
そのエレミヤの預言の中で、この31章は明るく喜ばしい預言です。神様が、神様の方から、神と人との関係の回復を約束してくださり、その準備を整えてくださっている、それは真に神の愛と憐みのゆえである、というのが、31~34節の預言です。
手紙を読むヘブライ人にとって、「聖書」とは旧約聖書であり、律法と預言者でした。彼らに、イエス・キリストの十字架の贖いは、神のご計画であることを証し立てるために、筆者は旧約聖書を引用したのでしょう。この預言には、聖霊降臨も示されています。(10~11節)パウロは、コリントⅡ3:6で、「新しい契約に仕える資格、文字ではなく霊に仕える資格」と書いています。
信仰者は、神の御手の中で、常に新しく生まれる者です。新しく生まれ霊に仕える者として、整えられ、遣わされて行きましょう。
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