苦難に備えて

創世記41章47~57節

澤田直子師

主題聖句 「ヨセフが言ったとおり、七年の飢饉が始まった。その飢饉はすべての国々を襲ったが、エジプトには、全国どこにでも食物があった。」 創世記41章54節
 ヨセフはファラオの夢を解き、信頼を得て、行政の最高責任者に任命されました。ファラオは、ヨセフがより大きく完全な権力を得て仕事ができるように、エジプト名と、祭司の娘を妻として与えます。
 大豊作の七年の間に、ヨセフは大きな働きをしました。46節『ファラオの前をたって、エジプト全国を巡回した。』本物の権威を手にしたヨセフは、その正しい使い方を知り、実行することができました。もう少年時代のように裾の長い晴れ着を着て労働しなくても良い者であろうとはしません。権威にふさわしく神と人に仕えることを覚えたのです。
 豊作の間に生まれた二人の息子の名前に、ヨセフの思いを見ることができます。長男マナセの名の本来の意味は「持っていない」ということ、ヨセフはもはや生家には心を残さず、エジプトで生きる決意を固めたのです。その結果は次男エフライム「増やす」の名につながります。財産や権威だけでなく、何よりもエジプトの民とファラオとの信頼が増していきました。
 かつてのヨセフは、兄たちの嫉妬を知りながら、火に油を注ぐような愚かな言動をしました。その結果は苦難に次ぐ苦難の道のりとなりました。しかし41章のヨセフは、それらの苦難自体が備えとなって、賢い者に変えられています。ヨセフが考え、豊作の間に実施した政策は、理に適い、また後の飢饉の際には、この人に従っていれば間違いない、と思わせるに十分な関係性を築き上げました。
 わたしたち信仰者が、ここから学ぶべきこと、蓄えるべきものは何でしょうか?それは「神の御言葉です」と答えたいと思います。わたしたちの魂の養いを、遠いところではなく自分の生活のすぐそばに置いて、「聖書」という豊かな穀蔵をいつでも開けるよう、備えていきましょう。
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