希望と喜び

ペトロの手紙一1章3~9節

澤田直子師

主題聖句 「あなたがたは、キリストを見たことがないのに愛し、今見なくても信じており、言葉では言い尽くせないすばらしい喜びに満ちあふれています。」 ペトロの手紙一 1章8節
 ペトロの手紙とある通り、イエス様の弟子であったペトロが、各地に散らされて住み着いた信仰者に向けた手紙です。手紙の中には、何度も、信仰者はこの世の寄留者であり、仮住まいであることが記されています。ペトロの手紙が書かれたのは紀元63年ごろですが、十字架と復活から30年経っていますので、実際にイエス様の復活を知っている人々は減っていました。しかし反比例するように、福音を信じる人々は、異邦人の中にも増えていきました。
 4節にあるように、『朽ちず、汚れず、しぼまない財産を受け継ぐ』という幸いを求めて、偶像から離れ、まことの神に依り頼む歩みを選んだのです。「朽ちず」とは死なないこと、「汚れず」とは罪のないこと、「しぼまない」は永遠を表します。
 6~7節には、今しばらく試練に悩むかもしれないが、それは「あなたがたの信仰は、その試練によって本物と証明され」とあります。続く「火で精錬され」とは、詩編にも出てくる比喩的な表現で、不純物が取り除かれ、より価値の高いものに変えられることを表します。
 今、わたしたちは、自分を「生ける聖なるいけにえ」とするのに、様々に悩み労苦しています。その苦労の割には、実を結んでいないと感じる時もあるでしょう。しかし、主の再臨の日には、それらの苦労によって不純物が取り除かれ、主の喜ぶ供えものとして御前に立つことができるのです。これが3節にある「生き生きとした希望」です。生きているものは、必ず変化します。そして、一つ変化が起こると、すべてが揺さぶられます。その中にあってさえ、信仰者は、見たことのないキリストを愛し、信じ、喜びを持つことができるのです。
 天には、すでにわたしたちのものとなった、朽ちず、汚れず、しぼまない財産が用意されています。希望を抱いて歩みましょう。
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