すると、主の天使が現れ

ルカによる福音書1章11~20節

澤田 武師

主題聖句 「その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。」 ルカによる福音書1章14節
 ルカはイエス様お誕生の少し前の出来事から福音書を記し始めます。イエス様のお誕生は、旧約時代、預言者を通して既に伝えられていました。ルカは、祭司ザカリアと妻エリサベト(マリアの親戚筋にあたる)への神様のお言葉を、旧約の最後の預言として記しています。
 ザカリア夫妻は正当な祭司の家系に生まれ、二人とも「神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非の打ちどころがなかった。」
と、高く評価されています。旧約の時代は、財産、家族が増し加え与えられることは神様の祝福と考えられていました。子どもが与えられなかったザカリアとエリサベトは、神様の祝福から漏れた存在と思われていました。彼らは自分たちの存在の意義を、神様に祈り求め続けていました。
 ルカはザカリアの戸惑いを記しています。突然の天使の顕現と預言。将来、我が子が、救い主を指し示す者となるために生まれてくる。ザカリアには神様の真意は理解できなかったのでしょう。彼は、不安と恐れから「何によって、わたしはそれを知ることができるでしょうか。」
と、天使に問います。
 「すると」
と言う言葉には、ザカリアに限らず、神様の私たちへの思いが示されています。神様が私たちの生活に介入される時、私たちには突然であり、その意味も十分に分からないことがあります。しかし、神様は既にご計画を用意されていて、最善の時に、神様のみ旨として示してくださる。既に決まっていること、備えられたことを示すために私たちをも用いてくださる。
 神様を信じるということは、信仰生活から一つの言葉が無くなるということです。すべてのことを神様が備え導いてくださるのであれば「偶然」という言葉は無くなります。それらの出来事は全て私には必然であることになります。私たちが分かることだけが事実ではありません。クリスマスは、2000年以上にわたって、不安、恐れの中にある人々にも、変わることの無い神様の愛が語り続けられてきた唯一の事実です。クリスマスは、喜びの知らせとして今もわたしたちに与え続けられています。
📢音声