光の中を歩け

ヨハネによる福音書12章27~36節a

澤田直子師

主題聖句 『『わたしは地上から上げられるとき、すべての人を自分のもとへ引き寄せよう。』 ヨハネによる福音書12章13節 b
 ヨハネによる福音書では、十字架を受難ではなく栄光ととらえます。イエス様は、十字架に向かう道を目の前にして『わたしはまさにこの時のために来たのだ』と心を奮い立たせます。神様からの応答は『わたしは既に栄光を現した。再び栄光を現そう。』という声でした。既に、とはクリスマスから始まるイエス様の歩み、再びは、これから起こる十字架と復活です。
 誰の信仰生活にも「既に」と「再び」があるものです。一度十字架の贖いを知って受け入れたら、もう大丈夫、というわけにはいきません。信仰者であっても、何を見ても感謝できずに不幸の種ばかりを捜す日があるのです。そうならないために、わたしたちは、「再び栄光を現してください」と祈り求める必要があります。
 ユダヤ人たちが望んだメシア像は、他国の支配からの解放、強大な王国の再来、他民族から羨望される神の選民を率いるリーダーでした。そして彼らは、神のご計画がどうあろうと、自分たちの理想以外は受け付けませんでした。神様のご計画は、人間の思惑を超えたところで進んでいきます。答えがないということが神様の答えであることがあり得ます。
 天地創造のはじめ、神は「光あれ」と言われました。その時そこにあったものは、『闇が深淵の面にあり』光があるところには闇があるのです。わたしたちの内に光があるのならば、闇もそこにあります。イエス様は『暗闇に追いつかれないように』と言われます。
 罪の暗闇に陥る時、わたしたちは、自分のしていることがわからなくなります。自分は間違っているかもしれない、と思う時は、それほどひどい間違いはしないものです。自分は正しいと信じ込む時、人間は人を裁き、勝たなければ、と戦いを仕掛け、人を傷つけてしまいます。『光のあるうちに光を信じなさい。』イエス様を見失うことのないように、光を『再び』求めましょう。
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