その水をください

ヨハネによる福音書4章11~15節

澤田 武師

主題聖句 「女は言った。『主よ、渇くことがないように、また、ここにくみに来なくてもいいように、その水をください。』」 15節
 イエス様は御言葉を通してサマリアの女性に「生きた水」を与えられました。「生きた水」は女性の心を変えて行きます。女性は、この見知らぬこの旅人の言葉によって、自分でもよくわからない、何か特別な思いが与えられたことに気付きました。しかし女性はすぐには現実から離れることができません。昔からあったヤコブの井戸は深く、ここに住む者たちを生かし続けて来た、それ以外の水を「どこから手に入れるのですか」と、イエス様に問います。
 13節イエス様の御言葉「この水を飲む」とは「律法」を現していると言えます。律法を守る、その行いによって救いが与えられる。しかし、時間が立てばまた喉が渇くように、律法を守らなければ、救いから外れてしまう。それは、「この水を飲んでも」心の渇きからは完全には解放されないということです。
 「生きた水」とは「福音」です。イエス様を信じて「わたしが与える水」を飲むことにより、自分の内側に豊かに湧き出る泉のごとくに、人に永遠の命を与え、「再び生かされる」。完全に潤されるとういことです。
 女性は答えます。「主よ、渇くことがないように、また、ここにくみに来なくてもいいように、その水をください」。彼女が全てを理解し受け入れたのではありません。しかしここには本当に求めているものが示された者の言葉、信仰の告白があります。女性はもうこれ以上、渇きを覚える生活を繰り返したくない、やめてしまいたいと強く願うようになっています。その力となったのが、泉となって心の渇きを潤す「生きた水」です。「その水をください」 サマリアの女性が、初めて祈り求めた言葉です。それはイエス様を隣人として受け入れ、また、救い主と信じた者の祈りの言葉となりました。
 皆さんはイエス様に、最初に何を祈り求めたかを覚えておられますか。その時が、皆さんとイエス様が隣人となった時、救い主であると知った時です。サマリア伝道は、この女性の、生き返る喜び、救いの喜びを求めた祈りが、第一歩となったことを記しています。真っ直ぐにイエス様に切に祈り求める心が、祈り手だけでなく、世をも変えていく力を持つということです。
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