みんなで担う

使徒言行録6章1~7節

佐々木良子牧師

 初代教会の様子を見ますと、教会が立ち上がっていく時に次々と試みに遭いますが、主なる神を第一とする時、問題をも突き通していく神のお働きがあることを知る事ができます。「神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えられて与えられる。」(マタイ6:33)との如くです。
 「こうして、神の言葉はますます広まり、弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢この信仰に入った。」(7節)と、問題の解決の後には、主イエスの弟子たちを迫害し、誰もが救われる事を想像する事ができなかった多くの祭司たちが信仰に入った事が記されています。
 当時、主イエスの弟子たちは身よりのない人々を支えていましたが、神の御言葉を伝えるよりも奉仕する為に割く時間が多くなっていました。それでも施しを受けている人々から苦情が出る状況になっていたのです(1節)。
 そこで弟子たちは「わたしたちが、神の言葉をないがしろして、食事の世話をするのは好ましくない。」(2節)と、声を上げました。人は問題が起きると、とかくその問題に対して嘆き悲観的になりがちですが、彼らは教会の本質に目を向けたのです。教会の生命線は神の御言葉が語られ、真剣に聞かれるということにあります。「神の御言葉を大切にしたい」という思いと熱意が、人を変え、人を育て、教会を形成していきます。勿論、奉仕する事を否定しているものではありません。時として奉仕に忙しくなり過ぎて、教会本来の本質を見失ってしまい、本末転倒になってしまう危険性があります。彼らは教会形成を弁える弟子として訓練され、又、成長していたのです。
 こうして「わたしたちは、祈りと御言葉の奉仕に専念することにします」(4節)神の御言葉を中心として、ステファノを初めとする人々が奉仕を分担しながら、組織としての教会が徐々に建て上げられていきました。反キリスト勢力にあった祭司たちまでもが救われるという神の御業も起きてきました(7節)。
 この後、時代が過ぎパウロはエフェソの教会の長老と別れる時に「…神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのです」(20:32)と語りました。この恵みが維持されながら世界中に教会が生まれていきました。私たちの教会もこの恵みが受け継がれ担っている最中です。