神の国のメンバーシップ

エフェソの信徒への手紙6章1~9節

澤田 武師

主題聖句 「あなたがたも知っているとおり、彼らにもあなたがたにも同じ主人が天におられ、人を分け隔てなさらないのです」 エフェソの信徒への手紙6章9節C
 古代ローマの時代の「支配者と被支配者の関係」、それは、法律として成立し、夫婦や親子の間にも影響を及ぼしていました。奴隷という階級は、自由人の生活を豊かにするための財産であり、道具、労働力として社会全体が必要としていた存在でした。この時代、「子供」「奴隷」という存在は、両親や主人の所有物であると認識されていました。現代では考えられない身分差別の世界です。その中にエフェソの教会は誕生しました。
 「キリストに対する畏れをもって、互いに仕え合いなさい。」(5:21)パウロは、エフェソの教会があるべき姿を伝えます。この邪悪な世界の中にも「福音は明確に示されている。それはこの社会に影響を与えるためである。」と、伝道者として確信をもって、パウロはエフェソの兄弟姉妹を励まします。
人としてはカウントされない、被支配者という立場の子供や奴隷に、また、支配する立場の両親や主人に対しても、「イエス・キリストに従う喜びを、互いに分かち合う。」教会を形成してゆく一員となるために、実践すべき事柄を勧めます。
 それは、神の国の住人となるための「メンバーシップ」を得ることを意味します。パウロは子供たちに、奴隷たちに「福音」を通して、この世を見ることを勧めます。あなた方を支配する「両親」「主人」も、神様が愛さなければ一瞬たりとも存在することはできない。また、神様は「分け隔てなさらない方」である。現実には身分の違いはあるが、神の国の住人として、神は誰をも平等に取り扱われる。だから、「人にではなく、主に仕えるように」と迫ります。
 私たちは「教会」のメンバーとして、信仰生活を歩んでいます。「イエス・キリストに従う喜びを、互いに分かち合う。」どのような時代となろうとも、変わらない教会の「メンバーシップ」であります。それは、「どのような立場の人たちとでも、互いに仕え合うこと。」神様の国、御国が来ますようにとの祈りが成就した世界を、パウロは既に見ていたのではないでしょうか。
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