互いに愛し合いなさい

ヨハネによる福音書13章31~35節

澤田 武師

主題聖句 「互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」 ヨハネによる福音書13章34節b
 ユダは闇夜に出て行きました。イエス様は、残った弟子たちに「今や、人の子は栄光を受けた。神も人の子によって栄光をお受けになった。」と語られます。それは、十字架への道が「今」整ったということです。ヨハネによる福音書では十字架を「栄光」と伝えますが、実際の十字架刑は、酷く悲なもので、人類が考えた最も「残酷」な刑罰とも言われます。「今」の弟子たちには、イエス様の「栄光」の意味を知ることは出来ません。
 イエス様は父なる神様のみ旨に従い続けて、「栄光」の十字架へと進まれます。そこには、地上におられるイエス様と、神の国におられる神様との間に、確かな絆があることが示されています。
 「互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」これはイエス様が愛を貫かれ、弟子と呼んで共に歩み続けてきた者たちに残していかれる新しい掟です。
 イエス様の昇天後、使徒として各地に散らされて行った弟子たちは、イエス様が約束されたお言葉を伝え続けました。そこにもイエス様を信じる者たちの集まりが起こされました。
 ヨハネによる福音書では、はっきりとした教会論は記されていません。今イエス様が弟子たちに託されたお言葉は、天の父なる神様とイエス様の絆、それは神の国と地上を結ぶ縦の絆です。そこに、地上に残る弟子たちの「互いに愛し合う」ことが、この地上に広がってゆき、「愛し合う者」たちが横の絆を築きます。この二つが交わった所に、「栄光」の十字架が立ちます。それは地上の神の国、「教会」の誕生を表します。
 イエス様は、弟子たちが十字架の意味をはっきりと知るまで、愛し抜かれました。私たちも互いに愛する者として、十字架の意味を知ることを信仰生活の第一として歩んでいきましょう。お互いに励まし合いながら、愛し合いながら、イエス様の十字架の意味をはっきりと知ることが出来るように、共に交わりの中を歩んで行きましょう。
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