天からの光を見た

使徒言行録26章12節~23節

澤田 武師

主題聖句 「つまり私は、メシアが苦しみを受け、また、死者の中から最初に復活して、民にも異邦人にも光を語り告げることになると述べたのです。」               26章23節
 パウロはダマスコへ向かうキリスト者迫害の旅の途上で、復活のイエス様に出会います。その時からパウロは、イエス様の福音を宣べ伝える者として生涯を捧げます。生き方が180度変えられました。
 使徒言行録には3度パウロの回心の出来事が記されています。繰り返し語られるのは、復活のイエス様との出会いがパウロの信仰の原点となった厳粛な事実であるからです。12節以降では、パウロは、かつては「人からの権威」で生きてきたが、今は「天からの権威」に生かされていることを、驚きと喜びを込めて語っています。
 イエス様に出会う前、パウロが自分の生涯の業として「選んだ」のが「イエス様を信じる者を捕らえる」ことでした。それこそ神様に喜ばれる行いであり、律法を守り救われるための働きであると信じていました。しかし、声が聞こえます。「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。」この声はイエス様がパウロだけに聞かせた、わたしがここに居るという御声です。
 パウロは、復活のイエス様に出会い、新たに「奉仕者」「証人」「使徒」という、「天からの権威」を与えられた者へと変えられました。「自分の足で立て」神様が預言者として用いようとする時の「選び」の言葉です。パウロは新たな使命に「遣わされた者」として、ここから立って歩みはじめることになります。これはイエス様に託された使命です。
 キリスト教信仰は「選び」が重要です。私たちの信仰の原点、信仰に導かれた時など「選びたくなかった」が選ばざるを得なかった場合があります。「選ぶ」ことは「神様の御言葉に従う」ことです。イエス様の十字架の苦難、復活の喜び、福音を世界中に述べ伝えることを、パウロは「選び」、生涯をかけて証詞していきます。パウロの信仰の原点がここにあります。「天からの光を見た者」として、こう生きる以外なかったのです。