クリスマスがわかる

ルカによる福音書2章1~21節

佐々木良子師

 「いと高きとこには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」(14節)最初のクリスマスの夜、ユダの野原で野宿しながら夜通し羊の群の番をしていた羊飼いたちの上に天使たちの賛美が響き渡りました。そして今度は彼ら自らが主を賛美するものとなりました。暗闇の中で誰にも目を留められないような彼らが世の光となった瞬間です。それは羊飼いたちのもとに、今まで聞いたこともなかったような喜びのニュースが届けられたからです。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日、ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそメシアである。」(11節)
 イエス・キリストの誕生のニュースは、それは聞いただけでは「不思議な出来事」で終わってしまい、そこには何も起きません。「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか。」(15節)彼らは伝えられたその言葉に従ったのです。
 クリスマスの出来事はこのように、羊飼いたちが語られた言葉を疑うことなく、直ちに行動を開始した所から始まりました。神は「光あれ」との言葉によって、天地創造の業を完成されました。神の語られる言葉は必ず現実の出来事となって成し遂げられ真実です。「…わたしの口から出るわたしの言葉もむなしくは、わたしのもとに戻らない。それはわたしの望むことを成し遂げ、わたしが与えた使命を必ず果たす。」(イザヤ55:11)
 更にそれは特別な人々や特別な場所で語られるのではなく、羊飼いたちの日常の生活の中で起きました。神が彼らの近くにあって関わってくださり、救いの業を示されたのです。神はいつも私たちの生活の場に介入されて御業を行われ、そこで私たちは神と出会います。そうして神の語りかけを聞きながら歩み続けていくのが信仰の道です。
 「羊飼いたちは見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。」(20節)羊飼いたちは日常の生活の場で神の語りかけを聞き、そこから一歩踏みだし、又、自分たちの生活の場へ賛美して戻って行きました。私たちも暗闇の中で主が語りかけてくださったから、教会に集い礼拝をお捧げし、神と出会い、感動と賛美をもって日常の生活の場に戻るという、毎日がクリスマスの出来事を体験させて頂いているのです。