喜びの礼拝

申命記26章1~11節

 申命記はモーセ五書の最後の書、モーセの告別説教である。神はイスラエルの民とシナイ契約を結んだが、ヨシュアとカレブ以外の成人男子はカナン侵攻を拒んだ故に38年間の荒野に没した。そして今、神は約束の地カナンを目前にするイスラエルの民の次世代を契約当事者として召し、契約(モアブ契約)を更新された。26章は申命記の中心部分(12-26章)の末尾に当たり、1~15節は歴史的小信仰告白文と呼ばれ、礼拝毎に朗読されていた。1~11節は初物の奉献文、12~15節は3年目の10分の1の奉献文。たとえ神の民・神の約束の地であろうとも神の祝福が必要であることが示されている(15)。38年間の荒野の生活を通して罪に対する裁きを体験したイスラエルの民は、今朝、モーセの告別説教を通して神の変わらぬ愛を覚えた。如何に愚かで罪深い者でも悔い改めて神に立ち返るならば、主なる神は決して見捨てず必ず恵みを与え救いの約束の成就を確信させて下さる。彼らは約束の地カナンを目前に喜びと感謝に満ち溢れ、新たなる決意を以て神との契約更新にアーメンと答唱した。
 申命記は北王国が崩壊し、エルサレム(南王国)崩壊の36年前に主の宮で再発見された(列王下22:8-13、歴代誌下34:14-28)。ヨシヤ王は申命記を初めて読み、神の怒りの大きさを知って衣を裂いた。国民に読み聞かせ、皆衣を裂いて泣き悔い改めた。申命記は捕囚期にも朗読され、捕囚の民は自身の罪と尽きせぬ神の愛と救いの恵みを覚えて泣いた。
 今朝、主なる神は、申命記を通して、私たちにイスラエルの民の罪と裁きを示すと同時に私たち自身の罪を示され、同時に、神の尽きせぬ御愛と御恵み、その救いの約束の完全さを示された。イスラエルの民の約束の地はカナンだが、私たちに主が約束して下さったのは天の御国である。限りない神の愛と命と恵みと喜びに溢れる地、天の御国である。
 どうぞ今朝、私たちはもう一度、主に示された罪を悔い改めて心新たに主を愛しお仕えし、天の御国を目指して共に励み、救いの完成をご自身の目で見る日を喜び楽しみ、主の再臨を待ち望みましょう。在主